森の奥の女
私の家庭教師の体験です
私の家族はキャンプ場の管理人をやっていたため、山の中の湖のほとりに住んでいました。そのころのお話しです。
私と弟の家庭教師がおり、名前をKさんといいました。Kさんは心霊体験が多く、このキャンプ場の奥でこんな体験をしたと話してくれました。

当時Kさんは20代半ば。お友達と、深夜のドライブにこのキャンプ場まで来ました。Kさんは、その当時体力があり、徹夜で遊んでも全然平気!な感じのお兄さんで、恰幅が良く、髪は天然のクルンとしたふわふわヘアでいつもニコニコ笑顔でした。
季節は冬の手前頃で少し寒く、キャンプ場の奥は、道が山の手前で切れています。そこは少し高台のようになっていて、広い場所です。
森の木を伐採したらそのスペースに丸太を長い状態で積んで保管している場所でした。
コンクリートの道がなくなったら、あとは山道で、そこは林業の仕事のおじさん達か伐採の為に使うか、山の中腹にある神社(めったにそこの神主さんは来ません)のひとがたまに旗を立てに来るか、あとは鹿や野生動物しかいない場所ですので、話をするにはとても静かな場所です。

Kさん達は、家庭教師をやっていたので、話が合ったのでしょう気づくと深夜の2時くらいになっていたそうです。
Kさん達は車を降りて、車のボンネットに腰をかけ、湖を見下ろすように座って話をしていました。
だいぶしてからふと気になって、山のほうを見ると、話しをしている友達の肩越しに、山の奥のほうから女の人が歩いてくるのが見えたのだそうです。話に夢中になっていると、その女性は白いワンピース姿で、二人の後ろを通って歩いて山を降りる方向へ行ったそうです。
Kさんは、しばらく話をしていましたが、ここは山深くバスは日中に2本しかないようなところです。当時は携帯電話がショルダーバッグほど大きく、山の中では電波など届かないので誰も持っていません。Kさんは、(さっきの女の人、一人で山を降りられるのかな?バスも無いし公衆電話もかなり先だ)と思い、友達に「そろそろ帰ろうか」と声をかけました。
Kさんは、車を走らせながら、さっきの女の人を探しましたが、見当たらないので、少し引き返し、もう一つの下山ルートを走行しました。
(おかしいなぁ、女性の足でこれより遠くへ行けるかなぁ)と考えていると、友達が「さっきからルートおかしいけど、何?」と尋ねました。
Kさんは山の奥で見た女性の事を話すと、「はっ?俺そんな人見なかったよ」とかえされました。「えっ?見ていて黙ってるのかと思ったよ」というと、「やめろよ、怖いじゃんかぁ・・・」と友達は本当にその女性を見ていない様子。
ふもとの明るい自販機で飲み物を買うことにし、Kさんは山の中で見た女性の話をしました。あまりにはっきり見えたので、Kさんはまだ女性を心配していたのです。
すると、友達は「・・・あの山さ、外灯も無いじゃん。隣で話してた俺の顔だって、みえなかったろう?」
Kさんはやっと気づきました。隣で話す友達の顔すら見えない真っ暗闇で、あんなに遠くから歩いてくる女性の全身が見えるなんて、あり得ない事です。
「げ!怖い!帰ろう!」とすぐ帰ったそうです。
Kさんは、この話をしながら、「お化けってさ、やっぱり何かの電流みたいなものでできてるんだよ、真っ暗闇のなかでも、全然見えるからさ!」と家庭教師らしい事をいっていました。
私が住んでたところは、心霊現象がよく起きるとこだったんだなぁと感じたお話しでした。
