坊さんの行列
寝ていると
夏の朝方です。
窓の外、遠くからぼおん、ぼおんと音がします。
何だ?
朝4時ですが、うっすら明るいので、窓から外をみました。
中学生の私は、視力が良かったので、うーんと目を凝らしてみましたが、何もみえません。ただ音は聞こえます。
だれか近所の人が早起きして太鼓でもたたいてるのかな・・・
とまた横になると、
ぼぼん!ぼぼん!
さらにお経みたいなのも聞こえます。
「ええ・・・」
田舎の田んぼの横の道なので、さっきの音量よりおおきくなってるという事は、こっちに来るじゃん・・・なんかの宗教かな・・・
当時、平成の始めの頃はオウム真理教やら「幸せですかー」と叫ぶ宗教やら様々な宗教が富士山のまわりに集まっていたので、何ら珍しい事でもなく、朝からうるさいなぁ暗いにしか思いませんでした。
いっぱいいる
しばらく横になっていると、ぼぼん、ぼん!ぼぼん、ぼん!という太鼓が1つだけでなく、かなりの数で鳴っているのがわかりました。
持ち手が1本で、うちわみたいな太鼓です。
普通の太鼓ではありません。お経みたいなのも、何十人という数の声です。
うわぁ・・・何か、修行僧みたいな人達だろうか。
明るいせいか、みてみたくなり、窓から外をみた。
本当に霊感があればみえるんでしょうが、姿はみえません。
声と、太鼓、歩く足音は聞こえます。
不思議だなぁ・・・
頬杖をついて聞いていると、あんまり近くなったので、向こうから見つかってもなんか怖いなぁと思い、見るのをやめてまたベッドに横になりました。

来ちゃった
しばらくしたら、坊さん達はどっか行っちゃうだろ・・・
そんな風に思っていましたが、時すでに遅し・・・
ガリガリガリ。ガリガリガリ。。
誰かが私の窓の下の方をガリガリやっています。
私の部屋は2階なので、さすがに2階へはこれないだろうと思いましたが、道から逸れてこっち来たんだと思うとちょっと怖い気持ちになりました。
見つかっちゃったのかな・・・どうしよ・・・
私の部屋の階下にはおばあちゃんの部屋があります。ふとおばあちゃんは聞こえてるんだろうか?と思いました。
いやいや おばあちゃんが聞こえてたらとっくに叫んでる気がするなぁ。
思いを巡らせている間にも、ぼぼん、ぼん!お経~ぼぼん、ぼん!お経~ガリガリガリガリ。
うーん。どうせ見えないからなぁ。
ガラッと窓を開けてみました。
やはりはっきり聞こえるけど見えない。
「ごめんなさーい。何もできません。ごめんんさーい。」
と言いました。
するとガリガリは聞こえなくなり、ボボンボン!お経~足音が、ざっざっざっざっと遠くへ歩いていくのが聞こえました。
時空が歪んでいて、昔の人たちの様子が聞こえたんだか、心霊なんだか、わかりません。
言えるのは、絶対に夢ではないという事だけです。