お兄ちゃんの怖い話
母の実家、祖父母の家にお泊り
急な用事もOK!【ピックシッター】
高校生の頃、4つ年下の従妹と2人で、母の実家へ泊りに行きました。
祖父母の家は、田舎で、コンビニもとても歩いては行けない遠くにあり、夕飯を食べたらすぐ暇になってしまいました。
従妹は私と違って頭が良く、フランス語の先生をしに他校へ行ったり、のちに首席で大学を入学・卒業し銀行員となります。
この従妹が、
「おじいちゃんもおばあちゃんも寝ちゃったし、うちらもお風呂入って寝ちゃおうか。」
と言うので、そうしようと思い、パジャマの支度をし始めると、お兄ちゃんが帰ってきました。
お兄ちゃんとは、正確には伯父なのですが、未婚のためおじさんと呼ぶな!ということで家族・親戚一同からお兄ちゃんと呼ばれていました。
「あ。お兄ちゃんお帰り。ごはんあるよ」
「あれ、今日はお泊りか。」
他愛ない会話をし、お兄ちゃんが醤油。とかマヨネーズ。とか言うので、しばらく一緒にTVを見たり漬物をつまんだりしていました。
暇だから

「お兄ちゃん、暇だから遊んでよ」
と言うと、いつもお兄ちゃんはドライブなど連れて行ってくれるのです。しかしこの日は市役所で働いて残業だったというので、ドライブは無理だけど、お兄ちゃんが体験した怖い話をしてくれると言いました。
お兄ちゃんが小学生の頃、学校から家へ帰る途中の話です。
もう家に近い場所で、向かいのおじさんが正面から歩いてきて、
「おうH、いま帰りか。」
というので、
「うん。」
と返事すると、
「また遊び来い。」
と言って、おじさんは歩いて行ったそうです。
時間はちょうどお昼くらいで、お兄ちゃんは家に帰ると、
「いまそこで向かいのおじさんに会ったよ、遊び来いって。」
と言うと、
「H!嘘つくんじゃないよ!おじさんは今朝亡くなっただから!」
と言われたそうです。
「ええ~!おにいちゃんハッキリ見えた?」
と聞くと、それはそれはハッキリ見えたそうです。
「それに時間だって昼でさぁ、太陽が照ってるような時間だよ、足もあったし、完全におじさんだったんだよなぁ。喋ったし。ありゃ最後の挨拶だな。よし、風呂入って寝ろよ。他の話もまだあるから。」
というので、ワクワクして早く早く!と従妹とお風呂にはいり、その後にお兄ちゃんがお風呂を出るのを待っていましたが、お兄ちゃんはお風呂から出ると、
「また今度にしよう。おにいちゃん疲れちゃった。」
というので、
「じゃあ、今度、絶対だよ」
と約束して寝ました。
それから数年後に、お兄ちゃんは52歳の誕生日のあと突然亡くなり、もう怖い話の続きを聞くことはできませんでした。
いつか天国で再会したら、話してもらおうと思っています。