おおきな人
夜中の参拝
高校生の頃。
うちは外泊禁止という決まりのある家庭でしたが、仲良しのお友達と大みそかの年越しをしてみたくて、親にしつこくお願いすると、意外にもOKが出たことが1度だけありました。
大みそかに神社に参拝するというのが初めてで、わくわくしました。
町中に住む友達の家にはご両親とおばあちゃんがいました。
夕飯を食べてから友達の家につき、ファミコンでスーパーマリオⅢをやって、夜中の11時30分位に歩いて出かけました。
友達は、
「本当は参拝は人が多いから好きじゃないんだ。スーパーマリオⅢでライフ増やしてほしかったんだ。」
と言って笑いました。
当時、ファミコンにはセーブ機能が無かったので、やっている途中でそのまま置いてきました。

無事に参拝
神社は沢山の人出があり、ごった返していました。
中継のテレビリポーターや、酔って騒いでいる人。夜中に何か食べている人。神社に夜中にこんなに沢山の人がいるなんて思いもせずびっくりしました。
おみくじを引こうと、社殿脇へ行くと、そこもお守り等を買いたい人でごった返しており、帰ろうかなと思ったら、巫女さんの中に知った顔がありました。
高校の友達が巫女さんの恰好をしてお守りを売るバイトをしていました。
声をかけると、嬉しそうに
「あけおめ!忙しいしスゴイ寒い!」
とニコニコしていました。
初めての初詣でいろいろ見て満足の私に、友達が
「そろそろ帰ってマリオやろう。元旦の朝にはクリアできるかな」
マリオⅢの8面は根気が無いと出来ないし、歩きで上り坂を行かなくてはならないので帰ることにしました。
帰りみち

帰り道は上り坂なので、なかなかしんどいです。
高校生なのでタクシーという考えは無く、ひたすら歩きます。
参拝帰りの人もぞろぞろ歩いているので、何か話しながら歩きました。
友達の家に行くには、外灯のある通りから住宅街へ1本入り、薄暗い道を歩きます。
出かけた時は、ワクワクして気づかなかったのか、帰りになってみると思いがけず暗い道でした。
あと少しで到着しそうなところで、暗闇の中でなにかがユラっと動きました。
びっくりして足を止めると、電柱の脇に2.5mから3mくらいの黒い大きな人がユラユラしています。
「えっ・・・何あれ」
と友達に言うと、
「何が?」
「あの・・・ 電柱の所 でっかい人」
「いないよそんな人」
うわあ・・・ヤダすぎる・・・
「ねぇ怖がらせやめてよぅ」
と私を見て友達が怖がっています。
「ねぇ。ここ通らないと帰れない?」
と聞くと、これは1本道だと言います。
正体不明のでっかいヤツ・・・
濃い影みたいな感じでユラユラ電柱の影に入ったりこちらに出て来たりします。
あー全然消えないよ・・・ こっち見てる感じだぁ・・・(TT)
通っても大丈夫なんだろうか・・・
「じゃあ、いっせーので、走ろう。」
と友達に言い、あまりソイツが目に入らないように走りました。
転んだりしたら、ヤダな・・・
思いきり走って走って、無事に友達の家に着きました。
後ろを振り返りましたが、真っ暗なだけで何もついて来ませんでした。
あーいうのは一体、どこから湧いて出るんでしょうか。
そして、何をしているんでしょうか。謎です。
余談
翌朝の元旦まで、スーパーマリオの8面を頑張っていると、友達のおばあちゃんが
「お餅できたよ」
とお雑煮を運んできて、ファミコンの線を足で引っ張ってしまい、ファミコンの画面がバグってスーパーマリオⅢのクリアはできませんでした。
「あぁーおばあちゃんっ」
友達は怒ったり笑ったりしていましたが、午前中に昨夜の電柱の所を通って帰りましたが、もう何もいませんでした。