霊を挟み撃ち

A店の美容チーフ T

a cat who climbing tree blue sky
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A店に入店する美容チーフさんは、ここで修業し1年程も経ったら次々と他店舗に異動させられてしまいます。私がこの店舗に異動してきたときに1番可愛かった美容チーフさんとのお話しです。

この美容チーフさんは、18歳でとても若く、まるで猫ちゃんみたいなツンデレな人で、そこにいるだけでまわりは笑いに包まれる・・・ そんな人柄でした。
仕事はとてもマジメにやり、おしゃべりの時は面白い事をよく言ってました。本人はそんなつもりは無いのですが、その無邪気さにみんな笑ってしまうのでした。

『お客様が〇○コーナーにてお待ちです』

A店はとても広い店舗だったので、売り場にお客様専用の呼び出しボタンがついており、『医薬品コーナー』『食品コーナー』『化粧品コーナー』など、7種類ほどの場所が設定されていました。

化粧品コーナーだけで、4か所ボタンがありました。
1か所は男性化粧品、1か所は資生堂とカネボウの間、1か所は入浴剤の所、もう1か所は安価な化粧品コーナーの所です。

お客様がボタンを押すと、店内に自動的に放送がかかり、その担当者が急いで急行するシステムです。

鳴った!急げ

drug store
drug store

この日はあまり来客が無く、夕方の忙しい時間帯も越して、もう静けさがある時間帯だったとおもいます。

入浴剤コーナーでボタンが押されたので、私はコスメカウンターから近かったのでその場所へ向かいました。

一方、美容チーフのTは、『美容部員がいるから自分は行かない』という手抜きをしない人なので、どこか遠くの売り場から素早く走ってきました。

私は店内の南から北に向かい、Tは東から西へ向かうような経路で、入浴剤コーナーを目指しました。

この向かい方だと、確実にお客様を見失いません。見逃すこともありません。行き違いになることも無い、2方向からのアプローチとなったのですが・・・




そこには誰もいませんでした。




これは店舗のつくりからしてもあり得ない事で、二人で狐につままれたかのようでした。

ボタンが壊れていたと考えるのも不自然なほど、設置したばかりのボタンですし、もう、考えようのない出来事でした。

「え・・・ 放送鳴ってからすぐかけつけたよね?」
とTが言うので、
「うん・・・ おかしいね、めっちゃ足の速い人だったのかも・・・」
と答えると、
「ちょっと確かめてくる!」
とTが店舗の入り口のレジの人たちに聞きに行ってくれましたが、皆、一様にその方向からお客さんは来なかったよと答えました。

うーん、アノ人達もイタズラ心が残っているのか・・・
という事件でした。


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